介護したくない 親をみたくない 罪悪感もある 介護にどうかかわるか
- 2018.12.27
- 介護
看護師・心理カウンセラーの渡辺由紀子です。
親の介護。やりたいものではありません。
関係が良ければ良いで、衰えていく姿をみるのは辛いものです。
不満が溜まっているなら、虐待しそうで、そんな自分が嫌だという事もあるでしょう。
急逝されると、それはそれで、親孝行の機会が欲しかったようにおもったりしますが、だからといって親を看る事ができる事が幸せというのは綺麗ごとです。
義理の親の場合は、パートナーとの関係が絡んできます。
仲良くやってきても、いきなり同居を切り出されると関係が揺さぶられます。
夫が率先して親元にかよい、そこに協力するくらいならまだしも、当然のように介護の主体になる事を期待されたら熟年離婚も考えたくもなるでしょう。
介護には、状況の大変さがついてきます。
状況の大変さとは、持って回ったような言い方ですが、いわゆる心も持ち方ですまない事がたくさんあります。
かかわり切れない事への罪悪感の緩和は心理職が得意です。
親子関係や、配偶者との問題は、まだ心理職よりです。
それでも、夜になると活動的になって寝せてくれない、とか、
一人でトイレに行っては転んで骨折するとかいった話になると、
自分を大切にしながら、遠目に見守ってあげましょう、とはいかなくなります。
それでも、心理療法を学んできた者として知っておいて欲しい事もあります。
そんな事で、全部が解決するわけではない、と言いたい事もあるでしょうが、何かの助けになる事もあると思います。
目を通していただければ幸いです。
60点の介護の60点とは
介護は60点でよい、頑張りすぎないで良い、と言われるようになってきました。
仕事として介護をやっている方はそうもいかない所がありますが、ご家庭でも介護は60点で充分だと思います。
ただ、その60点とはどのあたりを指すのか、よくわからないと思われる方も多いように思います。
私の思う60点は、後でもっと大変にならない事です。
両脇を支えれば何とかトイレに歩ける方に、小はオムツにしてよ、と言う事が良いわけではありません。
心意気の高い施設では、オムツを濡らさせないくらいの気構えでトイレに同行しています。
ご本人が、トイレに行く事を望まれるのなら、それが良い対応だとは思います。
それでも、ご家庭でその水準で頑張らないとならないわけではありません。
ただ、オムツを変えるのが、一日1~2回だと皮膚が剥けるかもしれない。
それは、ご本人にも辛い事ですが、皮膚科に連れていく、軟膏を塗るといったご家族の負担も増えてきます。
そこだけは、お互いの為に、何とか回避していくという発想です。
介護は、ご本人を中心に、というのは正しい発想ですが、正しい事で共倒れになってしまってはどうにもなりません。
ご本人が望む所と、家族が対応できる所の接点を探していくのが良いと思います。
家族が大変だという事に意識がいきすぎて失敗する事もあります。
行きたくないデイサービスに引きずるようにして送りだすと、よけい嫌になる事があります。
本当にデイに行かないと家族の生活が成り立たない状況でも断固として行かないという話はよく聞きます。
実際に対応する人が決定権をもらう
夫に義父の介護を委ねられる。
主婦。特に、専業主婦の方は拒否するともいかない事もあると思います。
そんな時には、少なくとも、私が看るんだったら何かの時には私が決める、という事は言わせてもらって良いと思います。
経済的に余裕があっても、かわいそうだから施設に入れるのには抵抗がある、と夫が言っても、
頑張れる範囲でやれる事はやるけど、無理になったら私が施設に入ってもらうかどうか決める。
その権限は宣言する。
胃ろうを作れば、年単位で延命できる。
そんな時は、ご本人の思いを尊重してあげたいのもやまやまです。
それでも、夫が全面的に妻が看てくれるように思っているなら、私には無理、と言って良いのです。
間接的に親の死期を決めるようなものですから、罪悪感もあるでしょうが、少なくと半分。
本当はそれ以上が、実子である夫の責任です。
夫が、自分もできるだけの事はするからと頭を下げれば、考えないでもないでしょう。
先回りして、良い妻にならない事も大切です。
お金を使うか、体を使うか
こう言ってしまうと身も蓋もないと思われるかもしれませんが、この視点も大切です。
お金はないというご家庭もあるかもしれませんが、その時々の親の年金を使いきっていけば介護保険でそこそこのサービスが受けられる。
それでもなにかの時の為に、今は使いたくない。
別に、親の年金から何某を残してもらいたがっているわけではない。
そうおっしゃりたい気持は良くわかります。
それでも、介護をしたくない事を優先するなら、お金は一定使っていく事です。
子供世帯のお金を使わないまでも、親のお金は親もの。
そう思えないなら、自分の賃金だと思って親のお金をプールしておくのもありかもしれません。
ただ、お金も使わない、手もかけないはなし。
介護拒否で遺棄は、虐待。
犯罪レベルの事をやっているのと思うのは、自分も気持の良い事ではないでしょう。
手を掛けて半病人で長生きされるもお互いの為によくないと思われる方もおられるかもしれませんが、
手をかけなければ、自然に楽に逝けるわけではないのです。
実際、介護サービスを受ける事で、機能が維持でき健康寿命が延びる事はもっと認識されても良いと思います。
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