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何を言われても怒らない 怒りを感じない 怒りという感情がないのは異常か

何を言われても怒らない 怒りを感じない 怒りという感情がないのは異常か

看護師・心理カウンセラーの渡辺由紀子と言います。

何を言われても怒らない人と人と言われてきた。
自分でも、温厚で悪い性格ではないと思っていたのだが、知人に、「それ怒る所だよ。なんで笑ってすますの?」と言われた事がちょっとひっかかった。
そんな方と時々、お会いする事があります。

怒るべき所で怒らない事で人生を乗り切ってきたという方。
自分の気持に蓋をする事で、何とか周りともうまくやってきた、という自覚のある方はもっと一般的です。

怒りそのものが自分にあるのか、ないのかわからないといった方もおられます。

何かにつけて感情が表にでる、といった方も大変です。
怒りを簡単に人にぶつける、何かにつけて一目をはばからずに泣いてしまうという状況では、社会生活をおくっていくのに支障が出るでしょう。

一定の我慢はできるのだけど、ある一線を超すと、激怒して仕事をやめてしまう方も健康とは言えません。
それくらいなら、小出しに怒れた方が、社会生活はうまくいきます。健康な状態といえるかもしれません。

それでは、全く怒らない方はどうなのでしょうか?

怒りを感じないは怒りを収められる事とは別

苦痛が強い時 人は気持を切り離す

怒りを感じても、ここで怒ってはまずい、とか、不愉快だけと相手を傷つける事もしたくない、と思って怒りを収める事ができるのは大人の対応と言えると思います。

自分の気持を自覚しながら、適切な行動を選択できているなら、そんな自分を自分がほめてあげる事が大切です。

気になるのは、怒りを感じない人です。

怒りは自分を守る大切な感情。
自分が傷つけられるような言動を受けた時に、それが発動しない。

一見、温厚で何の問題もない人に見えても、健康とは言えないと思います。

怒りを感じない理由はいくつか、考えられます。
一つだけではなく、絡み合っているように思われます。

人は抑えきれないほど辛い事があると、切り離してなかった事にすると言われています。心理学の言葉で言うと乖離と言います。

カウンセリングに見えた方が、辛い話をしながらニヤニヤしたりすると、カウンセラーはよほど辛くて感じたくないのだろうと考えます。
ご本人は感じたくないとさえ感じていない事が多いようです。

看護師として病院に勤務していた時は、糖尿病から足の壊疽、腐っていくような状況になっても食事療法を守れない患者さんを腹立たしく思ったものです。
しかし、心理学を学んでみるとこんな方も乖離を起こしていた。向き合ったら耐えられないような辛さがあった事が理解できます。

怒るべき時に怒りを感じない事に気づいた時や、怒って良い所でおこらないね、と指摘された時には、自分が何か辛い気持を切り離してしまっていないか、振り返ってみる機会にしてください。

怒りを乖離させてしまうプロセス

乖離は大きなトラウマなどにも起こりますが、小さな腹立たしい出来事、屈辱的な扱いが繰り返される事でも起こります。

怒りを表した時に、よけい嫌な思いをしたような経験。
成人してからの事もありますが、物心つくかどうかの場合も多いように思います。

かまって欲しいとまつわりついた時に、親が不機嫌で追い払われるような体験。
最少は、何とかかまってもらおうと、泣き叫んだりしますが、それでも答えてもらえない。
よけい怒鳴られたり、叩かれたりする経験が繰り返されると、甘える事自体をあきらめてしまいます。

最初は我慢してる自覚があっても、拗れると自分の中の不満や怒りを、ない事にしてしまいます。

人が不機嫌で当たられたような場合も、自分が不機嫌にしているのだから自分が悪いと、思ってしまうパターンが育ってきます。

暖かい家庭で育った方でも仕事の適性がなくて屈辱的な扱いを受けたりすると、人として貶められらるような事を言われても笑ってすませる癖がつく事があります。

自分に自信がないので、怒らない事、何を言われてもハイハイという事でしか、この場に置いてもらえないと学んでしまったような方です。

これも、うまくやっていく為に今はこうしておこうと思っているなら、間違いとは言えませんが、拗らせると我慢している自覚もなくなってきます。

怒りを感じないと何故悪いか?

我慢している自覚がない方が楽だし、怒りを出さなければ周りともうまくいくのだから、構わないではないか。と思われる方もいらっしゃるでしょう。

しかし、決してそのままで良いとは言えません。

ゲシュタルト療法では、中に溜めた怒りは自分を傷つけると言われています。

人を攻めない人は同じ場面で自分を責めています。

ささいな事で、不機嫌になって人にあたりちらすような人に当たられても、怒りを感じず不機嫌にさせてしまった自分を責める。
仕事の効率が悪いから、人間性まで否定されるような事を言われても、力なく笑っている。

そんな状態で、本来もっている力を発揮できるはずもありません。

人は自分のセルフイメージ以上に振る舞う事はできないものです。

自分を責めるだけではなく、中に大きな怒りを抱えているので時として周りを傷つける言動をとってしまう事があります。

それも、怒りを感じさせた相手に対して出るとは限りません。

家族の為に、一生懸命働いているのに、職場で貶められたような時。貶めた上司や、取引先に怒りを出すわけにはいかない。
家に帰って、家族にあたりちらす。
誰のおかげで食べていけるのか、など言わずもがなの事を言ってしまう。
そんな事はありがちな事だと思います。

まだ、あたってしまった自覚があれば良い方です。
普段怒りを飲み込んで、感じないようにしている人は、無自覚に辛辣な事を言っている事があります。

怒りや、イライラを自覚していれば、友人や家族に対しても悪いけど愚痴ぐらい言わせてくれと言えるものです。

それもなく、いきなり当り散らされた家族は困惑します。
恨む事だった珍しくありません。
あたる事なんていう事はしていないと思われる方は、機嫌の悪い態度をとっていないか、ご自身をチェックしてみてください。

イライラさえ自覚していない方でも、自分が機嫌良く振る舞えているかをチェックすると、自分の怒りに気づく事ができたります。

怒りの処理の仕方

怒りに気づいた所で、下手に出すとよけいまずい事になる。
ない事にしていた方が、まだましだと思われる方もおられるかもしれません。

それでも、不機嫌な自分が周囲の人を傷つけて、自分の立場もまずくしているようなら放置しているわけにもいきません。

アンガーマネージメントという講座を耳にした方もおられると思います。

これは、怒ってしまう人が、怒りをコントロールする為の方法を考える事に焦点がおかれています。
怒りを感じる事ができない人に向けられた物ではありません。

では、怒りを感じる事を、切り捨ててしまったような人はどうしていけば良いのでしょうか?

マイルドに怒りと結びつく

私がクライアントさんに伝えている方法は、やってられない、とつぶやく事です。

怒りを感じる事ができない方は、それを求めただけで、固まってしまう事も多いものです。怒りを認識する事への罪悪感がある事が多いように思います。

カウンセラーに聴こえなくても良いので、心の中でつぶやいて下さいとお話ししながら、徐々に自分の怒りと結びついていくと、不思議な事に笑顔になっていきます。

ネガティブな感情を感じてしまっては、怒りが表に出てきそうで怖いと言われる方も多いのですが、実際は「怒り」君が、認めてもらて、機嫌を直してくれる事の方が多いのです。

怒りの元に働きかける

○○さんは嫌い、とか、△△は許せない、とか、少しずつ具体的な話をしていきます。

言葉にできると、冷静に対応できるようになっていきます。

この過程で、叩きのめしたいような怒りが沸いたり、号泣したくなったりした時は、無理にとめる事はしませんが、煽って怒りを出したり、泣いたりを勧める事はありません。

ただ出す、といった事で得られる、すっきりした感じを否定するわけではありませんが、一時的な物である事も多いものです。

怒りを感じる事ができた方が良い、という事は、相手に怒りをぶつけた方が良いという事とは全く違います。

むしろ、ここで怒る事が良いのか、別の方法で伝える方が良いのかを吟味できるようになる事に意味があるのです

怒りを感じた大元は何なのだろう。
相手にのぞむように動いてもらえなかった事だったとしたら、指示の仕方の問題なのか、相手の能力を過信したのか、みたいな事を掘り下げてみます。

大概の問題は、その元の部分に働きかける事で解消します。
このあたりになると、アンガーマネージメントと同じになります。
(このあたりはまた別に書いてみます)

怒りを切り離してしまったような方は、どこかで自分の中に大きな怒りがある事を知っています。
出てきたら、収集が付かなくなるような事を奥で感じているので、切り離してしまうとも言えます。

結びついても、解消していく手立てを知っていれば、怒りを認識する事は怖いことではなくなっていきます。

自分を守る大切な感情である怒りは、ない事にするのではなく、上手に使っていきたいものだと思います。

似たような仕組みでおこってくる事を下記のページに書いてみました。
合わせてお読みいただければと思います。

人に同情できない やさしい気持になれない そんな自分が嫌い 怖い

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