良い親になりたいと悩むより 子供以外に目を向けてみる
- 2020.05.13
- 親子の関係
看護師・心理カウンセラーの渡辺由紀子と言います。
親に大事に育てられたから、
自分も親のように子どもを育てたい。
そう言い切れる人は幸せです。
どれくらいの方が、そう言えるのでしょうか?
私はカウンセリングの仕事をさせていただくようになって、
親との関係のお話しも沢山聴いてきました。
悩みや問題があるので、
カウンセリングにこられるので、
全体の中で、どれくらいの方が、
親との関係に問題を抱えておられるかはわかりません。
ただ、そんなに珍しい事ではないとは
申し上げておきたいと思います。
逆に子供との関係に難を感じている方は、
どれくらいおられるのでしょうか?
不登校や、
過食・拒食、リストカットなど病的な状態、
盗癖や暴力など犯罪まがいの行為。
そんな事があると、親は自分の育て方に悩む事になります。
ただ、そんな場合でも問題は子供にあって、
それをどう更生させるか?という視点からしか
みれない事が多いのです。
これは、育て方が間違っていたとか、
躾が悪いとか、
愛情が足りなかった、といった、
シンプルな解釈で解き明かすのは無理があります。
夫婦関係の歪や、
親とその親との関係が子供に反映しているといった事も珍しくありません。
家族療法では、
IP 患者とみなされた人、という言葉を使います。
家族の仕組みが、望ましくない方向で固まっていて、
その歪が子供に出ているようなイメージです。
そこをどうしていくかは、
理屈の上ではそんなに難しい事ではありません。
あまり、うまいたとえではないかもしれませんが、
石垣から、石を一つはずすようなイメージ。
もろい石垣なら崩れるかもしれませんが、
大概は、そんなに見た目に変化はありません。
ただ、風通しが少しよくなるような感じ。
これは、誰かが家を出た方が良い、といった事を
言っているわけではないのです。
(実際に出る場合もありますが)
親が子どもだけを見ているのなら、
自分のやりたい事をやってみるといった
マイルドな方法で事が動く事も多いのです。
昼夜逆転している子供に付き添って、
夜中まで起きている、といった話はしばしば聴きます。
特定の方のエピソードではありません。
そんな方だったら、
まず、先に寝てしまうといった事をやっていただきたいのです。
それで一気に解決に向かうわけではなくても、
そんな事から動きはじめるものがあります。
ただ、それだけの事が結構難しいのです。
そんな時は、自分が大切にしている物をないがしろにするような、
自分の価値感に揺さぶりをかけられるような
恐怖感があるように思います。
手放すとか、緩めるとかには、
命綱を手放すように感じが付きまといます。
実際は、手を放す事で、
しっかりした地面に着地できるのですが、
その怖さを無視する事はできません。
片方の手でいばらののついたツルを握っている時、
やみくもに、
手放しなさい、それは意味がないものだから、
と言うのではなく、
しっかりともう片方の手を握って着地できるように導く。
そんな事も、
カウンセラー、therapistの
大きな役割だと思うのです。
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