やさしさで自分を守る 優しさは効果的な防衛
看護師・心理カウンセラーの渡辺由紀子と言います。
やさしい人は、概ね好感をもたれます。
だから、やさしく振る舞う事は大切な事。
ただ、優しく振る舞う事に疲れてしまった、といった人や、
やさしい人に抵抗を感じるけど、そんな自分も嫌、といった人へ、
やさしさをちょっと違う側面から、書いてみたいと思います。
優しい人は実は防衛的なのです、と書いてしまうと、そんな面もあるかもしれないけど、
そう言ってしまうのも気の毒、といった気持ちになる方も多いのではないでしょうか?
そんな方は、防衛という言葉になにかしらネガティブなイメージを持っておられるのかもしれません。
心理療法でも、防衛はあまり良いニュアンスで語られないような所があります。
本来、認めるべきもの、見るべきものを見ていないような感じでしょう。
防衛って、もっと自然な物ではないでしょうか。
優しさとか、笑顔も防衛である事は、多々あると思いますが、やさしく振る舞っていれば敵を作る事はない、笑顔でいれば好感を持たれる、といった動機でやさしく、明るく振る舞う事を誰も責める事はできません。
むしろ、機嫌が悪い、仏頂面の自分を、これが自然な自分なのだから、飾らずに出した方が良いといった態度で、誰にでも接する事は、子供っぽい態度だと思われてもしかたがないような気がします。
私が、よくお話しするのは、寝起きの顔で、仕事に行くような態度ではないかという事です。
大人の女性なら、顔を洗ってちょっとお化粧して仕事に行く。男性なら、髭をそって出かける。そこを省略するのは、学生やバイトなら許されても、職業人としては未熟だと思われる。
これが自分だから、飾らない姿だから、と言っても、まだ、若くて何もわかっていないから仕方がない、と苦笑される事はあっても、大人として信頼される事はないように思えます。
だからと言って、いつも人から見られて、感じの良い態度でいれば良いというものでもありません。
自然な気持ちの延長で、感じ良く振る舞える時は良いのですが、自分の気持ちとかけ離れている時は、疲れます。
常時そんな態度を意識するのは、無理だといっても良いかもしれません。
そんな時は、優先度を意識する事です。お客様が最優先。その次が上司、次が先輩といった順序になるのではないでしょうか。
それはそうだけど、出来の悪い後輩にもやさしくありたい、と思われる方は、本当にやさしい方なのだろうと思います。
それでも、やさしく、感じよく振る舞う順序は変えない方が良いと思います。
自分が居心地の悪い思いをしない為もありますが、自分が職場で、居場所がないような状況だと、後輩をかばう事もできなくなるからです。
しっかり、自分を守って、地に足を着いた状況を確保した上で、後輩にもやさしく振る舞うに越した事はありません。
やさしい自分に疲れる、と言う人は、人を優先しすぎている事が多いように思います。
利他的、というのは、立派な事のように聞こえますが、必ずしもそうではありません。誰にも嫌われたくない、という極めて利己的な気持ちと表裏一体だと考えた方が良さそうです。
人を優先する事が悪い事、というのではなく、どんなに頑張っても人は自分を守る事ができないと人を大切にする事もできないのだから、人を優先するのもほどほどで良い、と納得する感じです。
人の優しい振る舞いに抵抗を感じる方は、その人がやさしさを鎧にしている事を感じて抵抗が出ている事が多いように思います。
(下に見られているように感じて不愉快な場合もあります)
こんな時は、本当はやさしい気持ちでもないクセに作り笑顔なんかして、と批判的見るより、「頑張って感じ良く振る舞っているんだな」といった見方をすると、ガラッと印象がかわります。
悪い関係にはなりませんので、是非、試してみてください。
身内の人、配偶者などに、やさしくあるのは、最も難しい事かもしれません。
いわゆる、気づかいでの配慮をしなくてすむ所に良さがあるからです。
常に、夫(妻)の機嫌を取らなければならないような関係は、すでに破たんしているようにさえ思います。
ただ、相手が配慮してくれるのが、あまりに当たりまえになっているようなら、ちょっと他人行儀に気を使ってみるのも良いかもしれません。
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