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自己肯定感が高すぎるのは問題? 自己肯定感への大きな誤解

自己肯定感が高すぎるのは問題? 自己肯定感への大きな誤解

看護師・心理カウンセラーの渡辺由紀子と言います。

自己肯定感を高めましょう、といったお話しをしていると、必ず出てくるのが、やたらに自己肯定感が高いのは問題ではないか、自己肯定だけでは成長できないのではないか、といった質問です。

質問というより、詰問されているような感じの時が多いように思います。

そんな方は周囲の自己肯定感が高すぎると思われる人に本当に迷惑しているのです。

しかしそこには、自己肯定感への解釈の違い、大きな誤解があるように思います。

自己肯定感と誤解されやすいもの

自分が完璧だと思っている事

職場などの人を指して、あの人は自己肯定感が高すぎて困る、という時に良く上げられるのは、自分のやる事は完璧だと思っているような人です。

だれでも、ミスを指摘されたらちょっと嫌な気分になります。
それが、あまりに露骨なので、誰も指摘せずに黙ってフォローしてしまう。

もともとある程度は仕事ができるタイプです。
本当に、仕事ができなければ、嫌な顔をされようが人は指摘します。

ある程度仕事ができて自信がある所に、指摘される事もないので、自分は完璧だと思い込んでいる。
目に余る事があって、勇気を出して人が指摘すると、切れるような人は困った存在です。

こんな人は本当に自己肯定感が高いわけではありませんが、態度が自信に溢れているように見えるため、自己肯定感が高いと誤解されがちです。 

自分は特別な存在だと思っている人

実際は、何の成果も上げられていないのに、自分には特別な能力があるように思い込んでいるような人がいます。

気分だけ自分は特別な存在のように思っている。それでもどこかでそうでない事を知っていて、それが露わになる事を恐れて何もできない。

極端な場合は引きこもりになってしまいます。

音大を出て、演奏家になるには力量不足だと思って、さっさとレッスンプロになるような人は、心理療法の視点からみると、心が健康な人です。

売れないアーティストや、登用されない学者。
中には本当に特別な能力がある方もおられるかもしれませんが、本当に卓越したものがあれば周囲が放っておかないものです。

自分はこんな所にいるべきではないと思っている人が、アルバイトのように一般の会社に入ってきて、目の前の仕事を軽くみると周囲は迷惑します。

こんな人も、しっかり実際の自分の事をみて、本当の自分を肯定できているわけではありません。自分が作ったイメージの自分に期待しているだけ。

本当の意味で自己肯定感が高い人と言う事はできません。

特定の能力や業績への自信

なになにだから私は素晴らしい、と自分の学歴や職歴、芸術的なセンスや能力を誇る事はそれ自体が問題ではありませんが、本来の自己肯定感ではありません。

学歴や仕事の業績
既婚であり、夫が社会的に認められる仕事についている
子供が一流の大学に入った

こんな事で、自分が凄い人のように思うのは自己肯定感ではないのは、わかりやすい話だと思います。

自分は優しいとか心理を学んで自己洞察が深いいった事は少し複雑になります。
時には自己肯定感の中に入れてやっても良いかもしれません。

ただ、条件がついていると、時として、それなのに、という状態が起こってきます。

優しいはずの自分がイラッとしたら、自己肯定感は揺らぎます。

人にセミナーで心理を教えている人が成熟しているわけではない事はセラピーの世界に足を入れた者ならみんな知っています。

本当に自己肯定感が高い人は自己肯定感に理由はありません。

根拠がないので揺らぐ事もないのです。

困った自己肯定感の裏にある自己否定

高すぎて困る自己肯定感、と言われるものは、大概、自己肯定感が低い事の裏返しです。

自分が絶対に正しいと言って、人の意見を聞かない人には、自分に対する自信のなさや周囲の人への恐れがあります。自分に自信がないので、人に何か言われると脅かされるような気がして怖くてならないのです。

本当に自己肯定感が高ければ、人の意見に耳を傾けて吟味する余裕あります。

人の意見を充分に聞かないではねつけるような態度は自信ではなく、自分が脅かされる事への恐れです。

人に強気に出るのとは、異なるタイプもいます。

過剰にオシャレだったり、さりげなく業績をアピールしたりする人などです。必ずしも悪い事ではありませんが、なんだかイラッとさせられるような人は自分で自分を肯定出来ないので、人の賞賛を求めている事が多いようです。

無言の認めて認めてが伝わってきて、こちらはイライラするようです。

本当に自分に自信があるので、自慢しているわけではありません。

そんな時に無下にすることはありません。セミナーでは指摘し合うような事もありますが、職場など通常の場所であれば認めてあげればうまくいきます。

自己肯定感が高いように見えて、実は自分に自信がない人とうまくやっていくコツは相手の認めて欲しい所を認めてあげる事です。

あんな態度では他に行って困るだろうと是正しようとするのは、多くの場合大きなお世話になります。
相手が、何だか自分は人とうまく行かないんだけど、どこが悪いんだろうね、と訊いてきたような時に教えてあげるくらいで良いと思います。

本当に自己肯定感が高いとは

それでは、本当に自己肯定感が高いとはどんな事なのでしょうか。

いろいろな方が、いろいろな言葉で言っていますが、私は等身大の自分を受け入れられる事ではないかと思っています。飾る事もなく、卑下することもなく自分を受け入れる事。
言葉で言うのは簡単ですが、結構難しい事です。

褒められたら喜ぶ事もできるし、過剰に持ち上げられれば違和感を伝えられる事もできなければなりません。

自己肯定感が高い人は、基本的に朗らかです。周囲の扱いに翻弄されずに自分を保つ事ができます。

怒りや不快な感情は、相手が受け取りやすいように伝えられます。

なんだか、あの人不機嫌だよね、という状態がありません。

小さな自分が社会と折り合いながら生きている事をよく知っているので、自分を労う事ができるのです。

自分が立派だから褒めるのではありません。

小さな自分が頑張って生きている事を認めて自分で抱きしめてやるのです。

こんな時に自分は褒められるようなものではない、と自分を攻めているのが、自己肯定感が低い人の特性です。

このパターンを持っている人は必ず人にも同じ事をしています。

良い人とみられたい気持はあるので、最初は自分に厳しくて人に優しい人に見えるかもしれませんが、 思うようにならないと思うと、手のひらを返して攻め始めます。

こんな事を考えると自己肯定感はいくら高くても良いのではないでしょうか。

自己肯定感は成長への原動力

自己肯定感は言い換えれば、揺るがない自分への信頼でもあります。

時には苦い指摘を受けたり、自分の至らなさに目が行っても、自分の根幹は揺るがないので柔軟に耳を傾けて、行動修正もしていける。

そんな人は、柔軟で魅力的です。

自我肥大と言われるハリボテの自分を作るのではなく、小さな自分をそのまま受け入れてやる事ができれば、人へ優しさや自己成長といったものは自然についてくるように思えます。

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