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感謝 恨み 矛盾した気持が辛い 愛憎の葛藤

感謝 恨み 矛盾した気持が辛い 愛憎の葛藤

看護師・心理カウンセラーの渡辺由紀子と言います。

世話になって事はよくわかっている、
ありがたいという気持も一方にはある。

それでも、恨めしい思いが否定できない。

落ち着かない気持を抱えてイライラしてしまう。

これも、よくある話です。

相手は親の事もありますし、
職場の上司や先輩などの事もあります。

大切に育てられた事は良くわかっている。
それでも、自分の望む方向に進まなかった事をなじられた事は恨めしい。

右も左もわからない社会人一年生に一から仕事を教えてもらった事は
感謝している。
それでも、人間性まで否定されるような事を言われた事は忘れられない。
何年も前の事だけど、フラッシュバックしてくる事もある。

こんな状態は気持が良いものではありません。

時には逆に、恨めし気持の方が強い所に、
ふと感謝する気持が出てきてイラッとするという方もおられます。

気持は決着をつけたがる

矛盾した気持があるという事は
気持と気持が喧嘩をしているような状態です。

そんな時は、決着をつけたくなります。

好きでも、嫌いでも良いから、
だちらかに気持を決め切れたら楽なのに。

つれない恋人を恨めしく思った経験がある方もおられると思います。

嫌いになれたら楽なのに、気持が残っている。
好きというには、嫌いな思いが多い。

アンビバレンツ
矛盾した気持を抱えているのは辛いものです。

決着をつけたくなるパターン 白黒思考

そこで、どちらかに決着をつけたくなるのですが、
心理療法の世界では、これを白黒思考を呼んでいます。

認知行動療法では認知のゆがみとして上げられています。
ゆがみというと、間違った物と言っているように聞こえるので、
考え方の癖、傾向をとらえた方が良いと私は教わってきました。

人や物事を、白か黒か、0点か満点かで見てしまう癖。

自分に対しても、人に対しても自分に対しても同じです。

実際の世界は真っ白でも真っ黒でもありません。

人には良い所も悪い所もあります。
自分も同じです。
絶対に正しい事や間違った事が早々あるわけではありません。

人のちょっと嫌な面を見てしまったら、
もう一切関わりたくないと思ってしまう。

自分にしても、一つ欠点を自覚したら、
生きている価値もないように落ち込んでしまう。

かと思うと、些細な事で、相手を崇拝してしまう事もあります。

どうしても、気持に浮き沈みは激しくなります。

気持の決着はつけやすいので、仕事の効率が良いなどのメリットもありますが、
人間関係や、安定した気持を持つにはマイナスです。

白黒の間にある物を認めようとしないのは、
視野が狭い、子供っぽい心だと言われてもしかたがないかもしれません。

ここまでご理解いただいても、
実際に白黒思考を緩和していくのは容易ではありません。

ただ、まず、自分の中の矛盾した気持にイライラする時は、
白黒どちらかに決着をつけたがっている自分がいる事を意識してみるといったあたりから、初めてみるのはお勧めです。

矛盾した気持に苛立つ時の対処法

極端な白黒思考の人でなくても、矛盾した気持を抱えるのは大変です。
心の力が必要です。

そんな時の気持の整え方を考えてみました。

負担はゼロにはなりませんが、段取りがわかっているだけでも、楽になります。

気持を喧嘩している子供に見立てる

虐待されたわけではないけど、親を恨めしく思っている方は多いので、
そんなケースで考えてみたいと思います。

まず、気持はいくつあるでしょう。

とりあえず、感謝と恨みがあるなら、それを二人の子供に見立てる。

縫いぐるみでも、クッションでも目の前に出してみるとなお良いです。

外在化 外に見える形にしてみる事。
カウンセリング、心理therapyでも、用いられる事がありますが、
一人でもできます。

まずは充分に喧嘩してもらう

自分は仲裁役のように所で、二人の喧嘩をみているのですが、
口は出しません。

あんなに大事に育ててもらって、恨んでるなんて何事!
親に感謝できないのは、未熟者

と言いたい気持には、そう言ってもらう。

大事にしたっていっても、思うようにしたかっただけじゃない。
私は親の道具じゃない。恨んで当然。

と言いたい気持には、そこを主張してもらう。

肩入れしたい気持を応援する

ここで、二つの気持の仲裁に入ろうとしない方が良いです。

外から喧嘩を眺めながら、自分はどちらの気持に肩入れしたいか考えます。

とりあえず、持ちたいと思った方に肩入れしてみる。
そうだそうだ、お前の言う通りだ、といった感じです。

そうすると、もう一人が騒ぎ出します。

冗談じゃない、自分を無視する気か。

その声を聴いて、気持が動いたら、今度はその気もちを応援する。
お前の言う事もよくわかるよ。
無視して、悪かったな。

味方になって思えると思っていたのに、寝返られた気持も黙ってはいません。

その声を聴いて一理でもあると思ったら、そちらの味方になってやる。

最後は・・・

そんな事をして、最後はどんな所に行きつくのだろう?と思われかもしれません。

それは、人によっていろいろです。

どちらかの気持に決着が付く人、
第三の気持が見つかる人、
葛藤していた事自体がどうでもよくなる人。

ただ、どこに落ち着くにしても、
両方の気持が消化されて、
無理に納得させたのではない所に落ち着いていきます。

大切なのは、プロセスを省かない事。
葛藤がある時は、ちゃんと葛藤する。
気持と気持をしっかり喧嘩させてあげる事だと思います。

自分の気持をみていくと思考の癖も変化する

こんな練習をする事は、フラッシュバックしてくる感情への対処に役に立つだけではありません。

自分の思考の癖全体が変化してきます。

ちょっとした失敗で、自分の存在まで消してしまいたくなっていたのが、
冗談じゃない、自分はそんな所ばかりではない、というかすかな声をひろう事ができるようになります。

否応なしに、自己肯定感もあがってきます。

逆に、やろうろ思えばできると思っていた事が、身の丈に合わない事だとわかってほろ苦い思いになる事もあるかもしれません。
万能感の解消。

それも成熟の方向です。

目の前にある問題を解消する為にも、人として、成長して、新しい世界をみたいと思われる方にも、自分の気持を丁寧にみていく事は役に立ちます。

カウンセリングはそのお手伝いをしているだけです。

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