親が嫌いだが 嫌っているのも辛い 愛憎 憎み切れない
- 2019.01.29
- 親子の関係
看護師・心理カウンセラーの渡辺由紀子です。
親が嫌い、という方、多いですね。
嫌いな所がない、という方はいらっしゃるのでしょうか?
それでも、嫌いと口にするのは、はばかられるような雰囲気もあります。
嫌いな方は嫌いな気持を分かちあえる仲間がいた方が良いですが、
親を嫌うなんて、と諭されたり、
嫌いな気持を煽られてそれも違うと思ったり、
本当の意味で分かちあるうのは難しいものです。
毒親と罵る事を煽ったり、感謝できないのは未熟といったり
セラピストもさまざまです。
それだけ、いろいろな視点やスタンスがあるという事でしょう。
セラピーを希望されるなら、
まず、自分の気持にマッチする所に行くのが良いと思います。
親に傷つけられた思いが強い方が、
親に感謝しろと言われても
説教されているようにしか聞こえません。
言われたからといって、
感謝できるようになるとも思えません。
親に感謝しているのだけど
どこかに疼いている不満がある方が、
親への不満を味わい尽くせと言われても
違和感を感じるか、
カサブタになっていた傷をエグルような思いをするだけ。
今、意識の表に出てきている気持を
まず、認めていやしてやる事が必要です。
それでも、それだけでは解消されない気持もある事と思います。
親が嫌いな自分も許す
虐待されて育った、といった方なら、
親を憎む自分に迷いはないかもしれません。
(それでも、親が恋しい思いはあります)
虐待されたわけではない。
大人になってみれば、親は親なりに一所懸命だったのだろ、とは思う。
それでも、自分の中に疼く物がある。
そんな方は、親を嫌いな自分を責めている事が
多いように思います。
自分は良い子供ではなかったかもしれないけれども、
あの言い方は、今思い出しても腹が立つ。
期待してたから、と言うかもしれないけど、
思うようにならないと人間性まで否定された。
勝手な期待がどれだけ重かったか。
あんたの期待の為に、生んで欲しくなかった。
そんな激しい怒りや、悲しみがある思い一方で、
親の期待に添えなかった事への、罪悪感も感じている。
罪悪感で自分を責める。
期待に添えなかった自分が悪い。
大事に育ててもらったのに、そこに応える事ができなかった。
そんな方は、小さな自分に、
辛かったね
親を嫌いでも良いんだよ、と言ってあげてください。
下手に煽って罵るわけでもなく、
ただ、親のそんな言動で傷ついた自分がいる事を認めてやるのです。
そんな事もあったけど
自分は自分なりに頑張って生きてきた。
良くやってきたなあ。
と思えればとてもうまくいっています。
大人の自分が、子供の自分を抱きしめてあげるようなイメージです。
暖かい思い出を振り返る
この段階で、親も苦労しして育ててくれたんだ、
という所で納得しようとすると、辛い気持が残ります。
ただ、頑張ってきた自分を感じていると、
小さな暖かい思い出がよみがえってくる事があります。
寒い季節に、親の布団にもぐっていって、暖めてもらった眠った事。
車に酔った時に、母の膝に頭をつけていた事。
熱が上がって歩くのも辛い時、父に背負われて病院に行った事。
そんな風景や、感触を思い出したら、
それはそれとして味合う。
嫌な思い出ばかりだと思っていたけど、
大事にされていた所もあるなあ。
涙ぐみたくなるような
暖かい気持。
だからと言って、こんな事があったのだから、
自分は親を許すべき、と思わない事です。
急がない方が良いです。
ベキと思っているうちはまだ、
自分の気持を抑え込もうとしています。
無理に抑えたものは
再度、どこかで出てきます。
両方の思いを消化していく
憎むか愛するか、
親への思いに限らず、
人との関わりはどちらかの気持に決着がついた方が楽なものです。
失恋でも憎み切れれば楽だけど、
思いが残るから辛いのですね。
だれでも嫌な人の良さは認めたくありません。
尊敬する人の悪い所は無意識になかった事にしたがります。
その方が、すっきりした感じがするのです。
でも、実際は自分が嫌いだと思う人にも良い所があるし、
尊敬する人にも欠点はあるものです。
両方を認めていく事には心の力が必要です。
決着をつけたい気持もよくわかります。
それでも、それは白黒思考。
子供の心だと言われています。
嫌いも本当、慕わしいのも本当。
感謝も本当、憎しみも本当。
どちらかに決着をつけようとしないで、両方を抱えていく。
両方の気持をいったりきたりしながら、ゆっくり消化していく。
頭で納得しようとしていた「親も大変だったんだ」が、
腑に落ちるまでは、時間がかかるかもしれません。
時間をかけた方が良いと思います。
咀嚼して咀嚼して飲み込んで消化していく。
丸呑みは吐くか下すかになりがちです。
自分で自分を癒せない時
親を嫌いな気持を持て余している時、
どう対処していけば良いか書いてみました。
概ねこれで良いのですが、
実際に、これを一人で進めていくのは大変です。
愛されてきたと思うけど傷つきも沢山あると思う人でも
それなりに時間はかかります。
私は心理療法を学び始めて10年ほどかけて
やっと、この辺りの感覚がなじんできました。
親に愛された実感がない方は
子供の自分の面倒をみる自分が育っていない事が多く
より大変だろうと思います。
一人で取り組む事が大変な時は、
人の手を借りる事です。
一番良いのはパートナーです。
兄弟は難しいです(親の愛情を奪い合ったライバルだから)
従妹や叔父叔母くらいの親族は
親も知っているので助けになるかもしれません。
実社会のお友達に話し辛ければ、
親子の問題を扱っているワークショップに行くのも良いでしょう。
講師のお話しも良いのですが、
まわりの人に話せない事を話せる仲間が貴重です。
ただ、最初にお話ししたように
基本的なスタンスに違和感がないかチェックしておく事は必要です。
カウンセリングやセラピーの個人セッションは
援助的にかかわってくれる人が思いあたらない時や
専門的な訓練を受けた人でないと
自分の気持は扱えないと思えた時に思い出してください。
セラピストに甘える事は心地よいし、
一定期間、それが必要な方も多いのですが、
心のベースが健康な方なら、まず身の回りの方に
サポートを求めるのが良いと思います。
親への愛憎で押しつぶされそうな方に私ができる事
激しい感情を緩和しながら、愛憎双方を抱えられるようになっていくお手伝い。親からもらいそびれた承認を提供しながら、大人になっていくプロセスに同行する事。
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